たより

HAN-KOHからのお知らせや日々の様子を綴ります。

シリア難民の方とお話しました

高等部で7月7日(火)実施の国際理解講座では、シリア難民の方とお話する機会を設けました。

1学期開講の国際理解講座(全6回)では、

①移民と難民の違い、シリア内戦・シリア難民について

②ドキュメンタリー映画鑑賞

③ドキュメンタリー映画鑑賞

④シリア難民の方とのオンラインセッション

⑤難民支援経験のある日本人の方とのオンラインセッション

⑥日本の難民政策について、振り返り

という内容で、難民問題について学んでいます。

今回は第4回のオンラインセッションの様子をお届けします。

私たちに個人の体験談をお話ししてくださったのは、シリアの首都ダマスカス出身のSaeedさん。内戦が勃発した2011年当時働きながら大学に通っていたSaeedさんは、内戦により職を失い、身の安全のためシリアを離れました(シリアの状況についてはページ最後のYoutubeリンクの②へ)。レバノンに逃れたものの、レバノンの経済やシリア人の受け入れ状況は芳しくなく、一旦トルコからモロッコ経由でヨーロッパへ渡ろうとしたそうです。しかし、ヨーロッパへ行く途中で捕まってしまい、様々な苦境を潜り抜けた後、ブラジルがシリア人を受け入れているという情報をたまたま路上で耳にし、ブラジルへ渡ったとのことでした。知り合いもいない、言語も分からない異国の地で生活を1から始めなければならなかったことや、ホームレスになるかも知れない恐怖が常につきまとう生活、英語よりスペイン語を外国語として学ぶ人が多いブラジルで職探しが困難だったことを語ってくださいました。独学でポルトガル語を学び、ブラジル在住7年目の現在は幸せに暮らしている、とのことでした。最後に若者に向けたメッセージをお願いすると、3つの強いメッセージを送ってくださいました。

1.簡単な道ばかり探そうとしないで。時に一番険しそうな道が、自分を幸福へと導いてくれるから。

2.自らの権利と信念のために闘いつづけてほしい。もし自分が正しいと感じるなら、何か必要な行動をとることを恐れないで。

3.自分を信じること。私自身がブラジルへ渡った時、言語もわからず知人もいない地での生き残りはあなたには無理だ、すぐに諦めるに違いない、と周りの誰もが言った。しかし、本当に本当に辛く大変だったけれど、私は自分を信じ続けた。そして、今とても幸せだ。

オンラインセッションを通じて、受講者の皆さんが“難民”という言葉への偏見を払拭し、何か気付きを得ることができたなら嬉しいです。

このセッションはNa Takallamというアメリカ・ニューヨークにある社会的企業のご協力のもと実施しました。”Na Takallam”はアラビア語で“We speak”という意味だそうです。個人向けの言語(アラビア語、フランス語、ペルシャ語、スペイン語)学習プログラムと、学校・団体向けの言語学習および個人体験談プログラム、また翻訳サービスを提供しています。創設者のAline Saraさんが2014年夏に実践的なアラビア語を学びたいと思った時、内戦により難民・避難民になった収入を必要とする人々と、世界中の言語学習者を繋げられないか、と浮かんだアイディアがこのNa Takallam設立の起源だそうです。講師の方々は様々な理由により祖国を離れることを強いられた“難民”と呼ばれる人々です。選考を通過しトレーニングを受けた後、プロフェッショナルとして言語を教えています。受講者が支払った授業料は直接講師の収入に結びつきます。(Na Takallamさんについてはコチラ➡ https://natakallam.com/#

また、Na Takallamさんは今回のようなオンラインセッションの実施に対し、奨学金の提供もしています。1回のセッション料は225アメリカドルですが、奨学金の申請をすると全額免除の助成を受けることができます(数に限りがあるそうです)。今回もQatarFoundationさんからプログラム実施に向けた助成の奨学金をいただいたおかげで、セッションを実現することができました。心よりお礼申し上げます。昨年ツコウでの総合的な探究の時間での実施が日本初の実施だったそうで、このような活動が日本で広がっていくことを願います。

もう1つ忘れてはいけないことは、映画で見た悲惨なシリアの光景は、75年前の日本と同じだということです。戦争の悲惨さを知ることなしに平和について考えてはいけないと思います。本講座に参加してくれた皆さんに感謝すると共に、これからも様々な知識を貪欲に身につけていって欲しいと思います。

次回も特別講師を招いてのセッションです。講師は、青年海外協力隊としてジブチで難民支援活動を行い、オランダの大学院で移民・難民政策について学んだ本田さんです。本田さんの高校生の時のお話や、なぜ難民支援の道に進もうと思ったのか、目標を実現するためにどんなことをしてきたのか、アフリカやヨーロッパでの難民支援の現実についてお話していただきます。一般公開としますので、ぜひご参加ください!

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シリア内戦・難民制度理解に使えるリンク集 (他にもたくさんあります)

TED (原題/日本語版の題名):

① Our refugee system is failing. Here’s how we can fix it / 崩壊しゆく難民制度を建て直そう(https://www.ted.com/talks/alexander_betts_our_refugee_system_is_failing_here_s_how_we_can_fix_it

② A boat carrying 500 refugees sunk at sea. The story of two survivors / 500人の難民を乗せた船が沈んだー2人の生存者の物語

(https://www.ted.com/talks/melissa_fleming_a_boat_carrying_500_refugees_sunk_at_sea_the_story_of_two_survivors)

③ What it’s like to be a parent in a war zone / 紛争でも子育て支援に手を差し伸べよう

(https://www.ted.com/talks/aala_el_khani_what_it_s_like_to_be_a_parent_in_a_war_zone)

④ Don’t feel sorry for refugees – believe in them / 難民を憐れむのではなく人として信じましょう(https://www.ted.com/talks/luma_mufleh_don_t_feel_sorry_for_refugees_believe_in_them)

など

映画:

① アレッポ 最後の男たち(https://unitedpeople.jp/aleppo/

② ラジオ・コバニ(https://www.uplink.co.jp/kobani/

③ 娘は戦場で生まれた(http://www.transformer.co.jp/m/forsama/

など

YouTube: 

① Syria’s war: Who is fighting and why (https://www.youtube.com/watch?v=JFpanWNgfQY)

② Drone Footage Over Syria Shows Fighting, Destruction (https://www.youtube.com/watch?v=TJ_kjizH6kg)

など

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In the fourth lesson of Refugee and Forced Migration Study course on July 7th, students welcomed Saeed from Syria as a guest speaker through Refugee Voices Program provided by Na Takallam(https://natakallam.com/refugee-voices/). 

Saeed is now in his early thirties. The conflict started in 2011 in Syria forced him to flee his home and seek safety in Brazil. He shared his personal experiences before reaching Brazil and the challenges of rebuilding a life in a strange land. At the end of the session, Saeed kindly delivered strong messages to the students: 

1. Don’t ever look for something because it’s easier than others, because sometimes the hardest thing is going to make you happier.

2. Always fight for your rights and what you believe in.

3. Trust yourself.

We’d like to express our heartfelt gratitude to Saeed for a meaningful time. Also, we are sincerely grateful to Na Takallam and Qatar Foundation International for helping us make it happen.

شُكراً جَزيلاً

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